突然ですが、皆さんは甘酒を飲んだことがありますか?
個人的な見解ですが、甘酒って割と好き嫌いが分かれる飲み物だと思うんですよねー。
(ちなみに僕は苦手です。吐きそうになりました。まぁ子供の頃に飲んだ時の記憶なんで、今は美味しいと感じるのかもしれませんが)
そんな甘酒ですが、実は製法によって大きく2種類に分類することができます。
①米麹から作った甘酒
②酒粕から作った甘酒
米麹? 酒粕?? 聞いた事はある気がするけど、どんなものかしら?
という方も多いと思うので、まずは米麹の原料である”麹”について説明を↓
麹とは蒸した米や麦、大豆などにコウジカビを繁殖させたもの。
米に繁殖させたものを米麹、麦だと麦麹、大豆だと豆麹というように、原料の違いでさらに細かく分類されます。
コウジカビというのは、名前の通りカビの一種です。
カビ!? そんなもの口に入れて大丈夫なの?
うん、まあフツーそう思いますよね。
おそらく、カビと聞いて良いイメージを持つ人は少ないでしょう。
ミカンやパン、お餅などを買って保管していたけど、ある日ふと見たら表面にびっしりとカビが生えていた……。
カビというと、こういったものを想像する人が多いのではないでしょうか?
確かに、そんな状態のミカンやパン、お餅を食べるのは非常に危険です。
(そんなことをするのは頭のおかしいチャレンジャーかバカなYoutuberくらいだと思いますが)
しかし、それは人体に有害なカビが含まれているからであって、全てのカビが危険・不衛生がということではありません。
中には人体に無害、むしろ有益なカビというのもいます。
なので、「カビ=食べたらダメ」ということではなく「有害なカビ=食べたらダメ」「無害なカビ=食べてOK」ということです。
カビを利用した食品って、意外と身近に沢山ありますよ。
冒頭で挙げた甘酒の他にも、味噌や醤油、日本酒、鰹節なんかはコウジカビを使って製造されています。
どれも日本料理の味付けには欠かせないものばかりですよね。
もう日本料理はカビのおかげで成り立っていると言っても過言ではないでしょう。
また、先ほど例に挙げたミカンやパンに生えるカビは、ゴルゴンゾーラやロックフォールといったブルーチーズについているカビと全く同じ種類の青カビですが、ブルーチーズの方は人体に害はありません。
(青カビの学名は「ペニシリウム・ロックフォルティ」といって、別に何種類もいるわけじゃなく、この1種類のみとなります)
それは、チーズが熟成される過程で青カビの有害な成分が分解されるからです。
コウジカビからつくられる食品
さて、このような食品に利用するカビの多くは、主に研究室内で培養されてつくられています。
(フツーに空気中や土壌にも存在するのですが、それを食品作りに使うのはちょっと抵抗ありますからね…)
麹を作る際に加えられるコウジカビは、麹を作るもとになるので種麹と呼ばれ、一部の店舗では味噌用・醤油用・甘酒用などの目的別に販売もされていますよ。
先程も述べましたが、この麹は日本料理に欠かせない味噌や醤油の原料。
醤油は大豆と小麦に種麹を合わせたものから作られる、いわば豆麹と麦麹のハイブリッドのようなもの。
また、味噌にいくつか種類があるのは麹の違いによるものです。
米麹から作れば米味噌、麦麹から作れば麦味噌、豆麹から作れば豆味噌となります。
(白味噌とか赤味噌というのは主に熟成期間の違いによって生じるもので、麹の違いではありません)
味噌は地域によって作られる種類が異なり、香りや味わいは多種多様。
(石川県は米味噌が多いですかねー)
味噌汁の飲み比べをするのも楽しいですよ☆
甘酒の作り方と特徴
それでは、話を冒頭に戻して甘酒について。
①の米麹から作る甘酒は、米麹に米と水を加えて60℃前後で一晩(6~8時間程)保温すると出来ます。
※この60℃前後というのは、コウジカビが出す消化酵素のアミラーゼが最も活発にはたらく温度(至適温度)です。
(アミラーゼは中学2年生で習う唾液の消化酵素としてお馴染みですね。ちなみに、人間の唾液が出すアミラーゼの場合は35~40℃の体温に近い温度で最も活発にはたらきます)
↑ここ、よくテストに出ますよ~。
このアミラーゼのはたらきによって、米のデンプンがブドウ糖などに分解されるので、出来る甘酒は名前の通り甘いです。
しかし、それは砂糖のような後に残るくどい甘さではなく、ご飯をゆっくり噛んでいて感じるような自然な甘みとなっています。
そして、ブドウ糖の他にもアミノ酸やビタミンB群を含んでいて大変栄養豊富。
巷で「飲む点滴」と呼ばれるくらい体に良いとされています。
(まぁ点滴の成分は大体ポカリと同じなので、点滴が栄養豊富というのは誤解らしいんですけどね)
加えてノンアルコールだから子どもからお年寄りまで安心して飲めるのもポイント高いです。
続いて②の酒粕から作る甘酒ですが、こちらはまず米麹に酵母菌や乳酸菌を混ぜて酒粕を作ります。
その上で、出来た酒粕に米と水を加えて①と同様に保温すれば出来上がり。
アミラーゼによるデンプンの分解が殆ど無いため甘みが少なく、通常は砂糖を足します。
最大の特徴は酒粕由来のアルコールを若干含むこと。
なので
ほんのりお酒の味がする
ため、若干の好き嫌いは
あるかもしれないです。
※ちなみに、アルコール度数1%未満であれば法律的には酒ではないため、酒税法違反にはなりません。
ですが、自家製で加える水の分量が極端に少ないかったりすると、うっかり1%以上になっちゃうかもしれないですね。
(場合によっては酒税法違反で懲役10年または100万円以下の罰金となります。お、恐ろしい…)
菌類と細菌類の違いと変化
――と、前置きが長くなりましたが、以上のように、甘酒はコウジカビや酵母菌、乳酸菌を用いて作られます。
生物の分類でいうと、コウジカビは菌類、酵母菌や乳酸菌は細菌類にあたります。
学校で習う際に気をつけたいのは、この菌類と細菌類の違いについてです。
(両方とも「何か小っちゃいやつ」位の意識しかない方もいるのではないでしょうか。意外とテストで選択問題として問われたりするんですよね)
ザックリと挙げると以下の通り↓
菌類:カビやキノコの仲間。目に見えるものが多い。胞子でふえる。
細菌類:主に「~菌」と呼ばれるもの。目に見えないものが多い。分裂でふえる。
これらを食品に加え繁殖させてつくられるのが前述した甘酒などの発酵食品です。
例えば、納豆は大豆のタンパク質を納豆菌のはたらきで分解することで作られますし、ヨーグルトやキムチは乳酸菌のはたらきで出来ます。
また、乳製品であるチーズには沢山の種類がありますが、中にはカビのはたらきが必要不可欠なものも数多く存在します。
(先に挙げた青カビからつくるブルーチーズの他にも、白カビからつくるカマンベールチーズなんかは有名ですね)
しかし、少しでも扱いを誤ると食品が腐敗してしまい、およそ食べられたものじゃなくなってしまうことも…。
そんな表裏一体の反応ともいえる発酵と腐敗の違いとは
発酵:菌や細菌のはたらきによって、食品が人間に有用なものへと変わる変化。
腐敗:菌や細菌のはたらきによって、食品が人間に有害なものへと変わる変化。
ご覧のように、文字にするとたった一文字の違いしかありません。
ちょっとした温度管理や衛生管理の差によって、発酵食品を美味しく食べられるか、はたまた腐って廃棄せざるを得なくなるか…。
いやはや、食べ物というの
は本当に奥が深いですね。
最後に
ということで、非常に長くなってしまいましたが如何でしたか?
普段の食事で何気なく口にしているものの中には、菌・細菌の活躍によって出来ているものが想像以上に沢山あるものです。
これを機に、菌や細菌類、発酵食品についてもっと詳しく調べてみるのも楽しいかもしれませんね(・ω≦)☆
※今回の記事は、中学3年生の3学期に学習する菌類・細菌類に関する授業内容の一部をもとにして作成しております。
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