起業・独立開業を目指している皆さん。
こと学習塾を始めようと考えているなら、物件探しは超重要事項となります。
なぜなら、その物件が塾に適しているかどうかを決めるには、周辺環境や物件条件などに様々な検討事項・ポイントがあるからです。
本日は、個人塾を開業する際の賃貸物件・テナント等の探し方や選び方について紹介していきます。
実際に僕が物件を探す際に
気を付けた事ばかりなので
これから探すという方は
ぜひ参考にして下さい☆
個人塾として使用できる物件の種類
賃貸物件にはいくつかの種類があり、それぞれに塾経営上の注意点がありますので、順に見ていきましょう。
賃貸アパート・マンション
不動産サイトで検索すると部屋毎に募集・表示されていますので、物件数自体は非常に沢山あってパッと見では選り取り見取りって感じです。
しかし、実際に学習塾として使用可能な物件は多くはありません。
(アパートやマンションで事業用として借りることができる物件は結構少ないです)
まぁ不特定多数の子ども
が頻繁に出入りすること
になりますからねぇ。
また、賃貸アパートの一室で開業するとなれば、家賃や敷金・礼金は相当低く抑えられそうですが、後述するような塾に適した条件を満たしている物件は殆ど無いでしょう。
「数人の生徒に限定して個別で教える」
というのであれば可能性はありますが、それで安定した収入を得るのは困難です。
「初期投資を抑えて小さく始めたい」
という場合なら選択肢に加えるのもアリですが、開業当初はよくても、いずれは生徒数が増えて部屋を増やすか教室移転することになるでしょう。
つまり、個人塾を開業する
場所としてあまりオススメ
はできないですね。
貸し店舗・テナント・事務所
アパートやマンションと違い事業用の物件なので、少なくとも学習塾として利用できないということは基本的にありません。
(一部の物件では、塾として使用するのを禁止している場合がありますのでご注意下さい)
注意すべき点は「居抜き物件」か「スケルトン物件」かということ。
スケルトン?
骸骨のこと??
うん、まぁ初めて聞いたら
そう思いますよねー。
では、知らない方もいると思いますので、意味を含めて特徴を説明していきましょう。
居抜き物件とは、前に使用していたお店の内装や設備、什器などがそのまま残っている物件のことです。
状態によってはリフォームや一部の設備を購入する必要がなくなるので、その分だけ初期費用を抑えることができます。
一方でスケルトン物件とは、室内に何も無いばかりか床やクロスまで真っ裸、つまりコンクリートが剥き出しになっている物件のこと。
とてもじゃないけど
このまま塾として使用するのは不可能です。
牢屋としてなら
使えそうですけどね。
初期費用を抑えたい、なるべく手間をかけたくないという人は居抜き物件が良いでしょう。
対して、多少お金がかかっても自分で内装や設備を一から自由にデザインしていきたいという人はスケルトン物件がオススメです。
※ただし、スケルトン物件の場合は教室を移転する際に注意が必要となります。
自分が借りる時にスケルトン(コンクリート打ちっぱなし)状態だったということは……。
そう、自分が退居する際も同様の状態にしなければならない「原状回復義務」があるんです。
もとの状態に戻すスケルトン工事には、部屋の広さにもよりますが大体20万円前後の工事費用がかかりますので、スケルトン物件を借りる場合には頭に入れておきましょう。
店舗兼住宅・自宅の一室
塾用の物件と住居用の物件を別々に借りると、合計の家賃はどうしても高額になってしまいます。
そこで、一戸建て物件を借りて教室スペースと居住スペースを分けてしまえば、一つの物件で済むので結構な額の家賃を抑えられるでしょう。
両親の実家やマイホームの一室を教室とするのも同様です。
ただ、一つ気を付けなければならないことがあります。
それは
「プライベートな場所と教室との区別をしっかりつけること」
公私混同しないようにという意味合いもありますが、それ以上に確定申告の時に困ります。
(確定申告については別記事で解説していますので、興味をもっていただけた方は是非ご覧ください↓)
なぜ困るのかと言うと、
店舗と住居が同一の建物の場合
事業用スペースの家賃→必要経費
居住スペースの家賃→生活費(経費にならない)
となるからです。
……どゆこと?
例えば、
総面積の40%が事業用スペース
残りの60%が居住スペース
だとすると、
家賃の40%が経費
家賃の60%が生活費
となります。
売上(収入)から必要経費や各種控除を引いた金額(課税所得)に対して所得税・住民税などがかかるので、経費の割合が大きいとそれだけ節税になるということです。
※個人的な生活費は必要経費にはなりません。
なので、事業用スペースと居住スペースの割合が曖昧だと、必要経費となる金額と生活費となる金額との割合を決めること(「家事按分」と言います)が正確にできなくなります。
下手に経費を多く見積もってしまうと
脱税ですよ?
まぁ別にいきなり逮捕
されるとかはないです
けどね。
話が難しくなってしまい申し訳ありません…。
要するに
「事業と住居が一緒の建物だと確定申告がちょっと面倒」
ということです。
店舗兼住宅や自宅の一室を利用する際にはご注意ください。
他にも家族が住んでたり
したら「トイレとかは
どうするの?」て事も
考えないといけませんね。
個人塾をする場所の探し方
上記から物件の種類を選んでも、まだまだ考える事は山積みです。
個人塾をする場合には、塾の立地も非常に大切です。
それでは、塾の立地を考える上で重要なポイントを一つ一つ挙げていきましょう。
近隣学校からの距離
自塾の指導対象学年に応じた小学校・中学校・高校が近くにあるかということですね。
学校から歩いて通塾することを想定すると、徒歩15分位までの距離が限界でしょうか?
「もうちょい頑張れよ」
って感じもしますが、
小学生だと確かにキツイ
かもしれません。
ちなみに、不動産業界では
「徒歩1分=80m」
と定められているようなので
「徒歩15分=1.2km」
ということで、塾から半径1.2kmの範囲にターゲットとなる学校があるかどうかを考えると良いでしょう。
(まぁ自転車で通塾する子とか、保護者の方が車で送迎してくれるケースも多々ありますので、あくまで一つの目安として考えていただけたら幸いです)
教室が1階かどうか
これは賃貸アパート・マンションや貸し店舗・事務所の場合に注意が必要です。
1階に教室があったら通行人の目に留まりやすいですし、気軽に教室へ出入りできるので通塾しやすく、また来校による問い合わせのハードルも下がります。
逆に教室が2階以上の場所にあったらどうでしょうか?
通行人からは認知され辛く、頻繁に自習へ通ったりフラッと塾の詳細を聞きに来たりするハードルはメチャクチャ高くなります。
わざわざ教室まで階段や
エレベーターを使って登ら
ないといけませんからね。
また、外から教室内の様子が見えないというのも、保護者や生徒にとっては不安に感じるものです。
2階以上の物件と比べると1階の物件は家賃が高くなりますが、それだけの価値があると言えるでしょう。
付近の駐車スペースの有無
特に小学生は、保護者による送迎で通塾する子が多いですから、付近(できれば塾の前)に駐車スペースが無いとかなり不便です。
送迎に寄った車が塾の前に停車することで渋滞が起こるパターンが多く、時には近隣住民から苦情がきたり、警察から注意されることもあります。
付近にコンビニやスーパーがあれば、そこの駐車場で待ち合わせることも可能ですが、あまりオススメはできません。
だって、スーパーやコンビニの店員からしたら
「何なのコイツら?」
って感じですよ。
苦情が来ても仕方ない。
もう普通にゴメンナサイ
って感じですね。
中学生だと自転車で通塾する子が結構いますから、できれば生徒用の駐輪スペースも欲しいところですが、そこまで考慮して物件探しをするのは難しいかもしれません。
2台以上の駐車スペースがあれば、1台分を駐輪スペースに充てる等で対応するのが無難でしょう。
通学路・大通りに面しているか
これは「教室が1階にあるかどうか」と大体同じ意味合いですね。
子どもにとっては通学路にないと見る機会が殆ど無いですし、保護者にとっては大通りにないと車移動の際に見ることが中々ありません。
(周囲の建物にもよりますが)
広告・宣伝を上手く行えれば、ひっそりと路地裏に佇んでいても認知してもらえるでしょうが、開業して間もない状態だと厳しいでしょう。
その他、物件選びで注意する点
続いて、ネットや来店で不動産の物件を調べている時に注意するポイントがあるので、順に見ていきましょう。
家賃・敷金・礼金など
安ければ安いなりの理由がありますので、あまり安さばかりを求めるのはNGです。
しかし、だからといって高額過ぎる物件だと月々の家賃や固定費がシャレにならないので、ある程度の上限金額は決めておいた方がいいでしょう。
家賃にばかり気を取られがちですが、賃貸物件にかかる費用は家賃以外にもいくつかあります。
中でも敷金、つまり退居時の修繕費に充てる費用に関しては、賃貸アパートなどを借りる時よりも高めの金額になることが多いです。
(賃貸アパートだと家賃1~2か月分が一般的ですが、店舗用の物件だと家賃3~6か月分の敷金を取られることもあります)
敷金は退居後に修繕費を
差し引いた金額が戻って
きますが、それにしても
高過ぎだろ…。
他にも
大家さんへのお礼にあたる礼金
(退去後も戻ってきません)や
火災保険の加入料
保証会社への加入料
などの費用が必要となります。
(連帯保証人をつける場合、保証会社への加入が不要になることもありますが、最近では少ないケースのようです)
これらの費用も合わせた合計金額を踏まえた上で物件を選ぶと良いでしょう。
使用部分面積
集団指導か個別指導か、はたまた自立型個別指導かによっても話が変わってきますが、教室部分だけでも大体「20㎡」は必要となります。
20㎡というと「約12畳」「約6坪」の面積です。
この面積の単位がいっぱい
あるの、ややこしくて嫌
ですよねー。
これだけの広さで幅150cmの会議用テーブルが8~10脚程、配置を工夫すれば一度に生徒20人ぐらいは入れるでしょうか。
自塾の指導形態やスタッフの人数・能力を加味して、一度に対応可能な生徒数を考えた上で、検索の際に物件面積を絞ると負担が少なくなりますよ。
物件の構造
集団指導では先生の声が、そうでなくとも休憩時間には生徒達の話し声がして、塾は何かと騒がしくなりがちです。
なので、近隣住民に配慮して防音性の高い物件を選ぶことも大切になります。
(まぁ防音マットや防音カーテンなどを使うって方法もありますけどね)
そこで重要になってくるのが建物の構造です。
構造には大きく
「木造」
「軽量鉄骨造」
「重量鉄骨造」
「鉄筋コンクリート造」
の4種類がありますが、これらを防音性の高さで比べると
木造≒軽量鉄骨造
<重量鉄骨造
<鉄筋コンクリート造
となります。
湿気への耐性や耐震性などにも関わってきますのでどれが最適とは言えませんが、こと学習塾に使用するなら防音性を考えて鉄筋コンクリート造の物件を選びたいものです。
まぁ僕の塾は木造
なんですけどね…。
書いといてなんですが、正直これは他の項目と比べると優先順位は高くないので、候補を数か所に絞った時の参考程度に覚えておいていただければ幸いです。
最後に
というわけで、いかがでしたか?
広告・宣伝などの集客に関しては、開業した後に試行錯誤することもできますが、物件選びはそうもいきません。
「いざ開業したら立地や物件条件が悪くて生徒が集まらない」
ということになっては、後悔してもしきれません。
自分が十分に納得のいく物件を選んで、その後の塾経営に自信を持って臨めるといいですね。
P.S.上記の選定ポイントはあくまで
「こうだったらイイよね♪」
というものであって
「こうじゃないと成功しないぞ!」
というものではありません。
それだったら
僕も困りますよ。
現在すでに塾経営をされている方で、上記のポイントに全く当てはまらない物件を選んでいたとしても、その後の努力次第で十分に成功する可能性はあります。
例えば、僕と同じく個人塾開業ブログを書いている有名ブロガー兼塾長さんがいるのですが、その方はアパートの2階にある一室で開業しました。
それでも、徐々に生徒を増やして、現在では年収500万円以上の大成功を収めています。
どんな物件を選んだとしても、それが自分で色々と調べてイイと決めた物件である限り、成功の可能性を秘めているはず。
この記事は、その物件探し・物件選びで最善の努力を尽くすための参考にしていただけたら幸いです。
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