教育者の皆さん
生徒の呼び方
って意識したことはありますか?
学校教諭の方は現場で指導を受けている場合が多いでしょうし、塾講師の方でも教育学部卒の場合は大学の講義や教育実習などで一度は話題に上がったかもしれませんね。
僕も大学の教授が話して
いるのを聞きました。
呼び方一つで生徒に与える印象がガラッと変わるものです。
コミュニケーションをとる際には常に呼ぶ機会があるだけに、その効果は良くも悪くも絶大でしょう。
以下では、塾における生徒の適切な呼び方について、教員免許も持つ現役塾長の私ゆうき塾長の知識と経験をもとに解説していきます。
今まで特に意識してこなかったという現役塾講師や学校教諭の方、そして将来的に独立して学習塾を開業する予定の方は、是非これを機に考えてみて下さい。
生徒の呼び方とメリット・デメリット
生徒の呼び方でパッと思い浮かぶのは
苗字呼び
名前呼び
あだ名呼び
くらいですかね。
一応「きみ」「あなた」
とかも考えられなくも
ないですけど…。
それぞれの呼び方にメリット・デメリットが考えられますので、一つ一つ見ていきましょう。
それでは、どうぞ!
苗字呼び
初対面の相手やビジネスの場面で一般的に用いられる呼び方で、学校現場では「苗字+さん」呼びを徹底している所も多いようです。
ビジネスシーンでも適しているだけに、相手との線引きがハッキリできるのが特徴です。
つまり、立場の違いがより明確になるというか、先生と生徒の間に一線を引くことができます。
ただ一方で、よそよそしく他人行儀に感じてしまいやすいというデメリットもあるので、教育者としてはまさに諸刃の剣とも言えるでしょう。
それに、同じ苗字の子が
複数いると混同して面倒
なんですよねぇ…。
このように良い点・悪い点があって悩ましいところではありますが、僕は現状この苗字呼びで生徒と接しています。
理由は単純で、他の呼び方に比べて
無難だから。
他の教育系サイトや個人塾ブログなんかを見ると
「苗字呼びはNG!」
「名前呼びに限る!」
とかって熱弁する管理人や塾長の方を結構お見受けするので恐縮ですが、個人的には苗字呼びがそこまでダメな呼び方だとは思いません。
結局のところ、苗字呼びが冷たく感じるか否かというのは、常日頃からの生徒との距離感や接し方によるでしょう。
僕は苗字呼び派ですが、
生徒との関係は今の所
良好です(、と思う…)。
名前呼び
学校現場でも、主に小学校で場所によっては名前呼びをする所もあります。
塾生から聞いた話だと、
どうやら中学校でも下の
名前で呼ぶ先生が結構
いるみたいですけどね。
名前呼び最大のメリットは「ネームレター効果」を期待できる点が挙げられます。
「ネームレター効果」
自分の名前と同じ、または似ているものに対して無意識に好意を持ちやすくなるという心理効果。
意識的にせよ無意識にせよ、人は自分の名前に愛着を持つものです。
そんな愛着を持った名前と全く同じもの、または同じ文字を多少なりとも含んでいるものに対しても、同様に愛着を持つ心理があるとのこと。
とある心理学の実験で
「平仮名50音にそれぞれ点数を付ける」
という検証を行った結果、自分の名前に含まれる文字に高い得点を付ける人が多かったそうですので、ある程度の科学的信憑性はあるでしょう。
それに、例えばアニメや漫画、ドラマ、映画などで、自分と同じ名前の登場人物がいたら何となく気になったりしませんか?
それがカッコ良いキャラ
とかだったら何か嬉しい
ですよね。
(まぁそのキャラが弱かったり性格的にダメダメな奴だったら通常以上に凹んじゃいますけど…)
そんなネームレター効果を応用したテクニックとして「ネームコーリング」というものがあります。
このネームコーリングとは、その名の通り「名前を呼ぶこと」なのですが、単純・簡単だからと侮るなかれ。
実は
会話の随所で相手の名前を呼ぶことによって相手から良い印象を持ってもらえる
ということが、いくつもの実験結果から実証されているとのこと。
これは教育者に限らず、人と関わる際には非常に便利なテクニックですね。
つまり、誰か親しくなりたい人と会話する際は、相手の名前を意識的に呼ぶようにするのが科学的に効果的ということです。
それなら名前呼び一択
じゃん。もう記事読ま
なくていいよね。ハイ
さいなら~。
ちょっ、まっ!!?
そんなに子供心は単純
じゃないですよ。
皆さん、あまり親しくない人から下の名前で呼ばれて嬉しいですか?
もちろん、中には嬉しいと思う人もいるでしょう。
ですが、そうは思わず
「ウザい」
「キモイ」
「ただただ不快」
そのように感じる人も少なからず存在します。
それは何もその人の性格に問題があるからとか、どちらかに非があると限ったことではありません。
ただ生理的にムリ
ということもあるのです。
そんな理由だったらもう
何も言えねぇ…。
特に、異性の講師が生徒を呼ぶ際には十分に注意した方がよいでしょう。
いやホント、相手との親密度やTPOなどを一切考慮せずに言ったらガチで嫌がられることもあるので、ご利用は計画的に。
あだ名呼び
学校現場では殆ど聞かない呼び方ですね。
(ネット掲示板では、あだ名呼びする学校の先生がいるって話を稀に聞いたりしますが…)
基本的に、あだ名で呼ぶ・呼ばれるのは互いに相当仲が良いという場合が多いでしょう。
たまに誰かれ構わず
あだ名で呼ぶ陽キャ
人もいますけどね。
確かに、あだ名で呼ばれるのは名前で呼ばれる以上に親近感が増すこともあります。
ですが、逆に名前呼び以上に嫌悪感を抱かれやすいという危険性もあるので、安易に用いるべきではありません。
保護者方の立場で考えても、自分の子供が塾講師からあだ名で呼ばれていると知ったら、快く感じる人は少ないのではないでしょうか。
むしろ
友達かよっ!??
というツッコミが真っ先に飛んできそうですね。
塾は教育サービス業であり、生徒・保護者は顧客です。
いくら子供だからといって、顧客に対してニックネーム・あだ名で呼ぶとか頭おかしい社会常識を疑われても文句は言えないでしょう。
あだ名呼びをしていても人気のある個人塾も存在するようですので完全否定するわけではありませんが、個人的には絶対NGだと思います。
講師側にあだ名をつける
のはイイと思いますし、
そういった塾は結構ある
みたいですね。
きみ,あなた,お前
大きな会社の上司とかに多いんじゃないでしょうか。
学習塾でも大手塾のように規模が大きいと沢山の生徒がいるため、時には名前と顔が一致しないという事態が生じて、このような呼び方をするケースがあります。
まぁお察しの通り
全くオススメしない
ですけどね。
こんなの
名前を呼び間違えるよりはマシ
という程度です。
苗字呼びより遥かに他人行儀ですし、人によっては上から目線にも感じられるでしょう。
少なくとも、信頼を築いて互いの距離を縮められる関係になるとはとても思えません。
先生と生徒の間に一線を引くというより、臨戦態勢に入って間合いをとるような距離感ですね。
というかもう
ハッキリ言って失礼
じゃないですか?
僕だったら絶対にこんな
呼ばれ方はされたくない
ですね。
生徒の敬称とメリット・デメリット
続いては敬称についてです。
敬称…って何だっけ?
「~さん」とか「~君」
といった、名前の後ろに
つける言葉のことです。
例えば新聞記事においては、子供の名前につける敬称は基本的に年齢を基準として以下のように決めています↓
中学生以上の子には男女共通で「さん」
小学生の男子は「君」、女子は「さん」
小学生未満の子には主に「ちゃん」
という風に使い分けるのが原則です。
(記事によっては小学生に「ちゃん」、男子中高生に「君」を使用することもあるみたいですね)
この敬称についても、子供に与える心証を大きく左右するだけに、よく考えて選ぶ必要があります。
敬称は沢山の種類がありますが、子供に対して一般的に用いられるものは多くありません。
様とか殿とか閣下とか、
先生が生徒に使ってたら
それこそキモイですね。
なので、ここでは教育者が生徒に対して用いる可能性があるものに絞って解説してきます。
それでは、どうぞ!
「君」「ちゃん」
新聞記事では小学生の男女で使い分けるという話でしたが、場所によっては小学校の先生も生徒に対して使っていますね。
呼び捨てにするよりも親しみがあるので、比較的良い印象を与えることができます。
ただ、小学生相手なら特に問題は無いですが、中学生や高校生相手に使うと少し違和感があるかもしれません。
中高生にもなると普通に
自分と同じ位の身長の子
もいますからねぇ…。
また、男子は「君」で女子は「ちゃん」と使い分けることは性差別であり、トランスジェンダーやエックスジェンダーへの配慮が欠けているとする見方もあります。
そんなの極一部の子だけ
でしょ? うちの塾には
来ない来ない。
多数だからとか少数だからとかって問題ではないですし、それこそマイノリティに対する差別になります。
それに、日本における性的マイノリティ(LGBT)の割合は約10人に1人と、左利きの割合とほぼ同じです。
田舎の個人塾だったとしても、LGBTの子が一人や二人いても何ら不思議ではありません。
「君」「ちゃん」といった敬称を用いる場合には、そういった性的マイノリティのことも十分に配慮すべきでしょう。
「さん」
前述しましたが、学校では男女関係無く「苗字+さん」呼びで統一する所が多いそうですね。
塾の先生ではちょっと
珍しいかも…。
(※あくまで個人の見解です)
男の子にも「さん」付けで呼ぶことに違和感を覚える方もいるかと思いますが、これは先程の「君」「ちゃん」呼びで解説した通り、性的マイノリティに配慮しているということです。
小中学生の中には、パッと見で男の子か女の子か判別できない子っていませんか?
それって単純に容姿が中性的なだけってこともありますが、自分の性が曖昧だったり心の性と身体の性が一致していなかったりという場合もあるでしょう。
担任の先生・担当の講師であれば、その子の詳細を知っているから大丈夫でしょうが、そうでない先生・講師が見たら少々戸惑うかと思います。
特に普段から「君」「ちゃん」呼びしている方だと、どう呼んだらいいものか悩んでしまいそうですね。
それで散々悩んだ末
「きみ」「あなた」
になったりして…。
対して、男女ともに「さん」呼びしている方だと、余計な心配をすることもありません。
まぁ要するに
無難
ってことです。
ただ、優しい印象と共に少し他人行儀な印象を与える可能性は否定できませんので、「さん」呼びを用いる方は声のトーンや話し方を工夫してフレンドリーな態度を示すと良いでしょう。
呼び捨て
中学校や高校では、場所によっては生徒を苗字または名前で呼び捨てにする先生もいると思います。
塾では小学生相手でも
割とフツーに使われて
いるイメージあります
けど、僕だけかな?
呼び捨ては文字数が少なく気軽に呼びやすいですし、特に同性が相手だと親近感を与えやすいという心理効果もあるとか。
苗字・名前の呼び捨ては、クラスメイトまたは友達以上の信頼関係がある相手にも違和感無く使われますので、それ程お互いに大きく距離を感じることはないかと思われます。
ただ、どうしても粗雑・厳しい・冷たいといった負の印象を与えがちなのは確かです。
普段から呼び捨てで生徒と話す人は、初対面の子や内気な子を相手にする際には、接し方や話し方に気を付けた方が良いでしょう。
最後に
というわけで、いかがでしたか?
生徒の呼び方や敬称については、学校や塾の中で特に決まっていない所もありますし、統一されていても場所によって異なる場合もあります。
なので、どの呼び方・敬称が生徒に対して最適なのか、一概には言えないでしょう。
自身のキャラクター性なども考慮して、自分に合った呼び方・敬称を選んで下さい。
僕は「苗字で呼び捨て」
ですね。接し方・話し方
を工夫して恐くならない
よう心がけています。
(生徒・子供との接し方や話し方については以下の記事で詳しく解説していますので、よければご一読お願い致します)
最後に、呼び方・敬称に関する注意点を一つ挙げさせていただくと
生徒によって使い分けるのはNG!
ということ。
呼ぶ側にとっては何かしら区別する意図があるのかもしれませんが、呼ばれる側にとっては知ったこっちゃない。
差別同然です。
別にこの場で
「差別じゃなくて区別じゃないか?」
とか
「区別と差別は何が違うのか?」
といったことを論ずるつもりはありません。
ただ、ハッキリ言えるのは
子供が差別と感じるのなら、それはやっぱり差別です。
この記事が、教育者の皆様が全ての生徒と楽しく円滑にコミュニケーションをとれる助けとなれば幸いです。
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