学習塾を経営している皆さん。
塾の広告宣伝、結構お金かかってませんか?
当ブログの過去記事では、個人経営の塾でも可能な広告宣伝方法を、無料のものから有料のものまで含めて計10つ紹介しました。
無料の広告宣伝ツールについては、使用して何か損するものでもありませんので、積極的に活用することをオススメします。
よほど下手な使い方を
していたら、塾の印象
が悪くなっちゃうかも
しれませんけど…。
ただ、問題というか悩ましいのは有料の広告宣伝ツールです。
のぼりや看板といった、一度購入したら当面は追加費用のかからないタイプのものであれば、開業に際して必要な初期投資と言えるでしょう。
(特に看板は、対面式の学習塾を開業するのに最低限必要なものですし、のぼりも地味に便利ですからね)
しかし、そういったものだけが有料の広告宣伝ツールではありません。
中には、多くの学習塾が活用している割には、その効果がイマイチ実感し辛いようなツールもあります。
それが
チラシの新聞折込
印刷・折込をするのに都度お金がかかる上に、チラシのデザインを作成するのにも少なからず手間や費用がかかるので、なおさら実行するのが躊躇われるでしょう。
お金と時間がかかる割に
宣伝効果は定かではない
なんて、そりゃ不安にも
なりますよ。
(チラシ自体は学習塾経営に欠かせませんので、新聞折込するかどうかに関わらず、1,2種類くらいは自作なり外注なりで作成しておいた方が良いですけどね)
一般的に、配ったチラシの枚数に対する、何かしらのアクションが起こる割合は0.01~0.3%
単純に考えると、チラシを1万枚配ったら1~30人が反応するという計算になります。
これがゲーム内ガチャでSSRやURを引く確率だったとしたら、間違いなくユーザー全員ブチ切れ案件です。
正直、これだけ見るとギャンブル要素が大きいと言わざるを得ません。
まぁ反応は無くても
塾の知名度・認知度
の向上にはなるかも
しれませんけどね。
ですが、それでも
「折角お金を払ってまで新聞折込をするのなら、すぐに直接的な成果が出て欲しい」
と思うのがエゴというもの。
果たして、チラシの新聞折込には確かな広告宣伝効果があるのでしょうか?
当記事では、私ゆうき塾長の開業初年度において、実際にチラシの新聞折込を行った時の記録を一挙公開!
加えて、新聞折込チラシを全く実施しなかった開業2年目と比較して、新規お問い合わせ件数の違いを見ていきます。
塾の広告宣伝ツールとしてチラシの新聞折込を検討している学習塾経営者の皆さんは、是非ご参考になさって下さい。
また、全く無関係という読者の皆様も、一種のエンタメとして楽しんでいただけたら幸いです。
新聞折込チラシの実施による反響
さて、早速これから新聞折込チラシの効果をデータとともに検証していくわけですが、その前に共有しておくことが一つ。
それは、当塾が実施した新聞折込チラシの概要と、当時の塾周辺の地域状況です。
データ検証する上では
重要なことですからね。
まずは地域状況について、ざっくり確認すると以下の通りになります↓
【塾所在地】
石川県の某田舎町
・町面積:183.2㎢
・町人口:7,878人
・世帯数:3,652世帯
・高齢化率:48.7%
(チラシ折込時の統計より)
【周辺の学校数】
・町立小学校:2校
(児童数:計210人)
・町立中学校:1校
(生徒数:計147人)
【競合他社】
・小規模個別指導塾:1教室
・個人塾(個別指導):1教室
見事にTHE・田舎って感じですね。
また、開業初年度の経営状況は↓こんな感じでした。
続いて、新聞折込の概要はコチラ↓
【実施時期】
開業初年度に計3回
(1回目)開業前日
(2回目)開業翌月
(3回目)夏休み前
【実施範囲】
(1回目)塾の半径4km圏内
(2回目)塾+隣接する町の
半径4km圏内
(3回目)塾の半径4km圏内
【折込部数】
(1回目)2,410部
(2回目)3,960部
(3回目)2,680部
【チラシの形式】
(1回目)A4両面カラー
(2回目)A4両面カラー
(3回目)B4両面カラー
【費用合計】
(1回目)16,949円
(2回目)37,301円
(3回目)25,145円
新聞の折り込みにはラクスル株式会社の「新聞折込(印刷+配布)」サービスを利用しました。
そして、折り込みをした新聞は北陸を代表する地方紙「北國新聞」と「北陸中日新聞」です。
(県内の普及率が特に高い「北國新聞」については、石川県民にとって「みんな読むよ」のCMでお馴染みでしょう)
最近は新聞をとらない
ご家庭も多いですが、
田舎ではまだまだ健在
なようですね。
ちなみに、PV(ページビュー)やUU(ユニークアクセス)などのデータについては、当塾HPのアクセス解析機能で確認しました。
当塾HPは、ホームページ作成クラウドサービス「まめわざ」の無料プランで作成しています。
(無料の割には機能やデザインが良く、操作も比較的容易でオススメです)
というわけで、共有事項はこのくらいにして、いよいよデータをもとに新聞折込チラシの効果検証といきましょう。
それでは、どうぞ!
開業前日の新聞折込による反響
記念すべき初の新聞折込チラシを実施したのは、開業の前日である2021年3月14日(日)の朝刊。
学習塾を開業する旨は、すでに1月段階から塾HPにて事前に告知していましたが、この時点まで問い合わせは全くのゼロ!
まぁ開業前の学習塾
なんて信頼も実績も
無いですから、当然
かもしれませんね。
そんな不安の最中、新規開校のチラシを新聞折込したことで、一体どれだけの反響があったのか?
新聞折込を実施する前後における、塾HPのアクセス数(UU)とページビュー数(PV)の推移がコチラ↓
【PV数】207PV
(前日比+164,翌日比+82)
【UU数】40UU
(前日比+27,翌日比+27)
【アクセス元】
・検索エンジン:15UU
(前日比+12,翌日比+9)
・チラシQRコード:7UU
(前日比+4,翌日比+5)
・ブックマーク:18UU
(前日比+12,翌日比+13)
おぉ…っ!!
なんと美しい曲線グラフ。
明らかに、新聞折込チラシを配布した当日はUU・PV数ともに急増。
折込を実施する前後に注目してパッと見比べても、アクセスの数値に変化が見られるのが分かるでしょうか。
新聞折込日の前までは底辺を這いつくばっていたグラフが、折込日を境に気持ち上向いている感じです。
折込前の目も当てられ
ない状態が、少しだけ
マシになってますね。
では、もう少し詳しく新聞折込チラシの反響率を見ていきましょう。
折込当日に記録した40UUという数字と、新聞折込したチラシが2,410部ということを考えると、折込部数に対する塾HPへのアクセス割合は約1.6%
また、配布後2週間における新規お問い合わせ件数は3件だったので、新聞折込から問い合わせに繋がった割合は0.12%
アクセス数の増加割合に関しては、前述したチラシの一般的な反響率より高いです。
一方で、折込部数に対する問い合わせ件数で考えると、一般的な割合と概ね同程度の数値となりました。
それでも、かかった費用が2万円弱ということを考えると、十分過ぎる成果と言えるでしょう。
1人入塾するだけで
すぐに採算がとれる
程度の出費ですから
万々歳ですね。
開業翌月の新聞折込による反響
続いて、2度目の新聞折込チラシを実施したのは開業した翌月の2021年4月4日(日)の朝刊。
この時点での生徒数は小学生1名、中学生1名の計2名。
(その他、中学2年生2名が体験授業を受けましたが、入塾には繋がりませんでした…)
このままじゃマズいという思いから
「倍プッシュだ…!」
という気持ちで、新聞折込地域を塾周辺に加えて隣町にまで広げて、起死回生の覚悟で臨んだ2度目。
(隣町を選んだのは、距離的に近いという理由だけでなく、町内に学習塾が一軒も無かったからです)
今にして振り返ると
何と浅はかな目論見
だったことか…。
注文から折込までの期日が短かったことに加えて、地域を分けたことも相まって費用が倍以上もかかっただけに、内心かなり期待していました。
その結果がコチラ↓
【PV数】68PV
(前日比+35,翌日比+56)
【UU数】14UU
(前日比+3,翌日比+8)
【アクセス元】
・検索エンジン:6UU
(前日比+3,翌日比+4)
・チラシQRコード:3UU
(前日比̟±0,翌日比+2)
・ブックマーク:5UU
(前日比̟±0,翌日比+2)
……あれっ??
何か思ってたのと違う…。
確かに前日比・翌日比ともに伸びていますけど、想像ではもっとグ~~ンって伸びを思い描いていただけに、何だか少し期待外れ感が否めません。
というか、何なら謎に伸びている15日のPV数の方がイメージに近いです。
4日以降で特にアクセス数が増加した兆しは見られませんし、配布後2週間における新規お問い合わせ件数も0件と、何とも哀しい結果となりました。
…何…だと…!?
と、とりあえず分析は後にして、ひとまずは3度目の新聞折込チラシの反響を見ていきましょうか。
夏休み前の新聞折込による反響
開業初年度の最後に新聞折込チラシを実施したのは、小中学校の夏休み前にあたる2021年7月10日(土)の朝刊。
この時点での生徒数は小学生1名、中学生3名の計4名。
(その他、中学生2名が体験授業を終えて入塾を検討している状態でした)
中学3年生が部活動を引退し、塾を検討し始めていると睨んで決行に踏み切った、3度目となる新聞折込チラシの配布。
た、タイミング的には
悪くないハズ…。
前回と同じ結果になるのを恐れるあまり、ヒヨって新聞折込地域を当初の塾周辺に戻しましたが、それが吉と出るか凶と出るか。
その結果がコチラ↓
【PV数】49PV
(前日比+6,翌日比+33)
【UU数】10UU
(前日比-3,翌日比+3)
【アクセス元】
・検索エンジン:6UU
(前日比-5,翌日比+2)
・チラシQRコード:1UU
(前日比+1,翌日比+1)
・ブックマーク:2UU
(前日比+1,翌日比-1)
・SNSリンク:1UU
(前日比±0,翌日比+1)
おっ……おぉ~ぅ?
PV数は月間ベストの数字を出していますが、伸び率では前日の方がグンと増えていますし、UU数に至っては前日よりも下がっています。
折込後のアクセス数についても、全体的に特段向上しているようには見えません。
び、微妙…っっ!
ブログ記事のネタとして
一番反応に困るやつ
ですね…。
しかし、上記アクセス解析のデータからは分かりませんが、実を言うと新聞折込チラシによる反響は確実にありました。
というのも、配布後2週間における新規お問い合わせが5件と、開校以降最多の件数(月間)になったからです。
(言うても開校して4ヶ月の段階ですけど)
そういえば、問い合わせの電話やLINEメッセージをいただいた際に、塾HPの存在を知らない保護者の方も意外といました。
なので、単純にHPへのアクセス数だけで新聞折込チラシの広告宣伝効果を測るのは難しいのかもしれません。
新聞折込チラシの有無と広告宣伝効果
さて、ここまで新聞折込チラシ配布の反響を分析するため、塾HPへのアクセス数の推移に着目してきました。
ですが、これだけで新聞折込の広告宣伝効果を判断するのは、あまり適切ではないと言わざるを得ません。
なぜなら、学習塾の問い合わせは一年の中でも時期に大きく影響を受けるので、同じ年度の中で比較しても新聞折込の効果かどうか断定できないからです。
もともと3月や夏休み前
は塾を探す家庭が多い月
だった、というだけかも
しれないですね。
そこで、先程ご紹介した昨年度のデータを、新聞折込チラシを一切配布しなかった今年度のデータと比較してみましょう。
ただし、塾HPのアクセス数はドメインパワーの影響も受けるでしょうから、比較データは問い合わせ件数だけに絞ります。
新聞折込の有無による違いを同時期で比べることによって、より正確に新聞折込の広告宣伝効果を測ることができるハズです。
それでは、早速見ていきましょう。
新聞折込の有無と問い合わせ件数
これから比較するのは「新聞折込を行った2021年度」と、「新聞折込を行わなかった2022年度」における、3・4・7月の問い合わせ件数です。
新聞折込チラシの有無で、同じ月の問い合わせ件数に大きな違いはあるのでしょうか?
気になるデータはコチラ↓
2021年 新聞折込 あり年度 | 2022年 新聞折込 なし年度 | |
【3月】 問い合わせ | 新規:3件 紹介:1件 | 新規:2件 |
【4月】 問い合わせ | 0件 | 兄妹:1件 |
【7月】 問い合わせ | 新規:5件 紹介:2件 | 新規:2件 紹介:1件 姉弟:1件 |
……うん。
やっぱり関係ありそうですね。
新聞折込チラシの影響が特に大きそうな新規の問い合わせ件数については、2021年度が計8件に対して2022年度は計4件と、なんと2倍の差がつきました。
既に通塾している生徒・保護者からの紹介による問い合わせについても、2021年度が計3件に対して2022年度は計1件です。
まぁ紹介に関しては、
新聞折込と直接関係は
無いと思いますけど。
唯一、通塾している生徒の兄弟姉妹の問い合わせ(というか入塾申し込み)については、2021年度が0件に対して2022年度は計2件となりました。
2年目になって兄弟姉妹の入塾が増えているのは、一人目の子に何ヶ月と指導を続けていく中で、少しずつ保護者の皆様の信頼を得られてきたからではないかと思います。
(本当に有り難い限りです)
とはいえ、新規顧客の獲得という点においては、やはり新聞折込チラシに一定の効果があると考えられそうですね。
新聞折込による広告宣伝効果(まとめ)
では、ここまでのデータをもとに、新聞折込チラシの配布による広告宣伝効果についてまとめます。
結論、効果はある!
ただし、いつでも良いというわけではありません。
新学年前や長期休暇(夏休み・冬休み)前のタイミングで実施する場合に限る!
それ以外の時期、特に学期の途中における配布は避けた方が無難でしょう。
結局、最終的な結論は
超ありきたりな感じに
なっちゃいましたね。
冒頭でも紹介したように、なにも新聞折込チラシにばかり頼らなくとも、新規顧客を呼び込む方法はあります。
学習塾において、最も大きな集客力があるのは友達紹介・口コミです。
その為にも、まずは少なくても目の前にいる塾生に対し、誠実な指導や地道な実績を積み重ねていくことが最重要なことは間違いないでしょう。
結果として、徐々に生徒・保護者からの信頼を得ることが出来れば、2年目以降は兄弟姉妹の入塾も考えられます。
上手く経営や指導を行っていけば、たとえ新聞折込チラシを配布しなくとも、そこそこの生徒数は維持できるかもしれません。
実際、2年目の僕の塾が
丁度そんな感じですし。
しかし、その状態は果たして好調と言えるでしょうか?
否っっ!!
「現状維持では、後退するばかりである」
これは、ミッキーマウスの生みの親であり、ディズニーランドの創設者でもあるウォルト・ディズニー氏の言葉です。
確かに、結果と評判の両方を求められる学習塾において、現状維持を続けるのにも相当な努力が必要なのは間違いありません。
一旦生徒数が増えても、
中3や高3が卒業・卒塾
したら、またすぐ生徒
が減りますからね。
それでも、現状に満足して新規顧客に向けた広告宣伝を一切しないというのは、サービス業である学習塾として全くもってナンセンスです。
誠実な指導を行う講師の想いは、サービスを受けている塾生・保護者の方々には伝わるでしょう。
地道な実績を重ねることが出来るのは、通ってくれている塾生・保護者それぞれが、塾を信用し期待に応えてくれた結果だと思います。
ですが、そんな指導にかける想いや確固たる実績も、伝える工夫や努力をしないと新規顧客には伝わりません。
その広告宣伝手段として、塾HP・ブログやGoogleビジネスプロフィールといったネット媒体だけでは、こと田舎においては十分とは言えないでしょう。
見てくれるのは、よほど
積極的に塾の情報を検索
して探してくれている人
だけですね。
「広告宣伝は塾講師の本質的な仕事じゃない」
「そんなことよりも、指導の方に注力したい」
そういった気持ちも痛いほど理解できます。
でも、個人事業主としてマーケティングを怠ることは、経営者自身の怠惰に他なりません。
塾講師の一番の願いは、学力の向上によって、生徒が己の手で明るい未来を掴み取ること。
それをより多くの子ども達に実現してもらうためにも、新聞折込チラシの配布は一つの有効な手段となり得るでしょう。
最後に
というわけで、いかがでしたか?
学習塾は、何よりも友達紹介や口コミによる集客効果が大きいと思っていましたが、新聞折込チラシの配布も新規顧客獲得の有力な手段となりそうですね。
ただし、今回の記事は私ゆうき塾長が経営する塾ただ一つのデータをもとに、個人的な分析をした結果に過ぎません。
新聞折込を実施した月も回数も少なく、正直に言ってデータの質や量も十分ではないでしょう。
それでも、当記事の内容が学習塾開業を志す方々の参考になれば幸いです。
来年以降、新たなデータ
が入ったら 改めて記事
にしたいと思います。
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