2020年度から、小学校で新しい学習指導要領に則った指導が行われるようになって早一年。
(2020年教育改革の一環ですね。他にも、英語教育ではリスニングやスピーキングに力を入れ、大学入試ではセンター試験に代わり大学入学共通テストが実施されるなどの改革が行われました)
※中学校では今年度(2021年度)からですね。
この改革、学校や塾の先生方にとってはまさに一大事!
おそらく、子供を持つ保護者の皆様にとっても非常に関心の高い話題だったのではないでしょうか?
ただ、新しい指導を受ける当人である子ども達にとっては、それまでとの違いに違和感を覚えることは少なかったのではないかと思います。
それもそのはずで、新しい学習指導要領が完全実施される2年前から、徐々に新しい内容へとシフトするための移行措置期間があったからです。
つまり、小学校では2018年度から、中学校では2019年度から、それぞれ新学習指導要領による学習が少しずつ導入されていたということ。
なので、子ども達にはこれから学校で学習する内容が以前までと如何に異なるか、その過酷さが実感できなくとも仕方が無いでしょう。
まぁそもそも進級するんだから、同学年の内容について変わる前と後を比べられないので、実感なんて出来るわけないですよね。
しかし、この2020年の教育改革では本当に大きな変化が起こりましたし、その中には気を付けるべきポイントがいくつもあります。
子どもの成長をサポートする立場にある先生や保護者といった大人が、この変化に子ども達が耐えられるように・乗り越えられるように、細心の注意を払っていきたいところです。
ということで、これから何回かの記事で「2020年度の教育改革で起こった変化」について、小学校と中学校の英語・算数(数学)・国語・理科・社会それぞれに分けてお伝えしていこうと思います。
教育改革による小学校算数の変化
初めにお話しするのは特に変化の大きな小学校から、科目は僕の得意な算数について、教育改革によるカリキュラムの大きな変更に絞って解説していきます。
(より詳細な変更内容や、評価基準の変更などに関することは別サイトをご参照ください。この場では特に知っておきたい事に厳選してお伝えさせていただきます)
今回取り上げるのは3点です。それでは、一つずつ見ていきましょう。
①重要単元「速さ」が6年生から5年生へ移行
小学校の算数は4年生くらいから徐々に難しくなっていき、特に5年生と6年生で学習する単元は、中学校でも頻繁に利用・応用される内容が多くなっています。
その中でも、以前までは小学6年生で学習していた「速さ」の単元は、中学1年生の「方程式の文章題」や中学2年生の「連立方程式の文章題」など、石川県公立高校入試で大問1つ分としてほぼ毎年出題される分野と深く関わっている重要な内容です。
(日常生活でも速さの考え方は必要不可欠ですよね)
そんな「速さ」が、何と学習時期が早まって小学5年生で学習することになります。
小学校の段階では、まだ他の単元との繋がりも無く単純に「みはじ」の公式に当てはめて計算していれば何とかなる場合が多いですが、中学校では幅広い単元で「速さ」の考え方が用いられるので注意しましょう。
有名な「動く点P」問題とかでも速さの考え方が必要になりますからね。
※中学受験をする場合には、問題文が長く計算がもっと複雑な難問が出題される可能性も十分にありますので、子どもの希望進路によっては更に重要度が高く対策が必要になってきます。
(その場合には「速さ」単元の応用内容である「旅人算」や「流水算」などの考え方・計算方法も覚えておくといいですね)
②重要単元「割合」を4年生から段階的に学習
小学校で学習する内容の中で中学校でも多く活用する内容として、先程の「速さ」と同じ位に重要な単元があります。それが「割合」です。
こちらも、中学校では主に「方程式」の分野における文章問題で必要となる知識なのですが、他にも「関数」分野で学ぶ変化の割合や「確率」の求め方も、全て割合の考え方に基づいています。
また、商品の割り増し・割り引きや天気予報の降水確率など、日常生活においても非常に身近な存在なのではないでしょうか。
(前者の方は学校の問題でお馴染みですね)
「日常生活で役に立つ=必要な勉強」と考えてしまうと、それ以外の勉強が無駄という風に思ってしまいがちなので、ことさらに強調はしませんが、それでも普段の生活との繋がりを感じられるというのは学ぶモチベーションになりますので大切な考え方です。
そんな「割合」の学習ですが、以前までは小学5年生の3学期にのみ学習していました。
ですが、今後は4年生で「簡単な場合における割合」を勉強し、その後5年生で改めて割合を習うことになります。
この簡単な場合というのは、基準となる数量を1としたときに、もう一方の数量が2とか3というような整数で表される場合のことです。
※一見とても簡単に見えますが、まだ1あたり量という考え方に慣れていない時期なので、恐らくそうすんなりとは理解出来ません。
学習内容に意味や興味を持たせやすい小学校の間に、こういった中学校以降でも活用する汎用性の高い知識を確実に身につけておくのが良いでしょう。
なまじ生活の中で頻繁に目にする内容なだけに、きちんとした理解を得られないまま雰囲気で何となく分かった風な気持ちになりがちなので、学習する際には十分に気を付けたいところですね。
本来、この割合の考え方を学校の授業だけで理解するのってメチャクチャ大変なことですよ。
③統計的な学習の一部が中1から小6へ移行
最後は、日常生活というよりは仕事や他科目との関わりが深い「統計」分野の学習に起こった変化を見ていきましょう。
統計的な学習自体は、今までにも棒グラフや折れ線グラフ、円グラフといった表の見方や簡単なデータの分類の仕方について、小学校でも学習をしていました。
それが、新しい学習指導要領ではより一層強化する形となります。
具体的には、複数のグラフを組み合わせた表の読み取りをすることや、これまでは中学校1年生の3学期に学習していた「度数分布表」や「代表値」といった内容の一部を小学6年生で勉強すること等が挙げられます。
また、データの散らばり具合を視覚的に分かりやすくする「ドットプロット」というのを6年生で習いますが、これは以前までの学校教育では教えていなかった新しい内容です。
初めて見た時は「何コレ??」って思いましたね。
こういった統計的な学習を増やした背景には、近年のデータサイエンス(特に機械学習などのAI技術の分野)の発展があるようで、小学校でプログラミング教育が必修化されたのも同様な理由と考えられます。
最後に
――というわけで、いかがでしたか?
自分達が子どもだった頃とは、学校で勉強する内容が大きく変わっていて驚かれたという方もいるかもしれませんね。
子供の成績が期待通りに伸びず、勉強で行き詰っている時に
「自分が子どもの頃はこうだった」
というような経験談・価値観を語ることも大切ではありますが、まずは子供の教科書を手に取り一緒に読んで、今そこにいる子供の悩みに真っ直ぐ向き合ってみることで、成績不振の原因が見えてくるかもしれません。
教育に正解はないといいますが、たとえ正解があったとしても、それは時代や場所、個々人によって変わるものだと思います。
子ども達には、大人が寄せる期待を過度なストレスと感じることなく、勉強への適度なモチベーションとして、過去ではなく未来を見つめて今を全力で生きて欲しいですね。
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